痔核は肛門の血管が膨らんだものです。血管自体は誰にでもあります。そのため、症状のない隠れいぼ痔の人が多くいます。
ところが、この血管がさらに膨らんで出血や脱肛、痛みなどの症状がでるようになると痔核という病気になります。痔核はできる場所により内痔核と外痔核に分けられます。
内痔静脈叢が膨らんで肛門の中の直腸側にできる内痔核と、外痔静脈叢が膨らんで肛門の外の皮膚側にできる外痔核です。
いずれも便秘や下痢のためトイレで長時間いきむこと、飲酒、長時間座っているなどの肛門を圧迫する姿勢などが原因となります。外痔核は急性にできますが、
内痔核は慢性化した状態です。それぞれ症状も治療法も異なります。
内痔核とは?
内痔核の症状は排便時出血と脱肛です。
はじめは排便時の出血のみですが、長期間つづき慢性化すると脱肛症状がでてきます。
出血は坐薬や内服薬で一時的に抑えることができますが、脱肛症状は薬では改善しません。
したがって慢性化して脱肛症状がでてきた場合、手術を検討する必要があると考えます。重症度2度以上に相当します。
今までいろいろな手術方法が行われてきました。レーザー治療、凍結療法、ゴム輪結紮法、PPH法などです。
いずれも再発率の高さや合併症の多さから、現在ではほとんど行われなくなっています。
今日主に行われている手術方法は、結紮切除術とジオン注による硬化療法(ALTA法)の2つです。
このうち切らない注射の治療、ジオン注による硬化療法(ALTA法)が開発され2005年3月より行われています。結紮切除法に比べて、入院が必要ない日帰り治療ができる点、再発率や合併症の低さ、術後の痛みがほとんど無いなどの長所があります。(ALTA療法(四段階注射法)ガイドライン医師用、初版2014年、内痔核治療法研究会編)
ただし専門的な手術手技が必要なため、内痔核治療法研究会が主催する講習会を受講した医師にのみ認可された治療です。当院ではこのようなジオン注による日帰り治療を行っています。
内痔核重症度分類と主な症状
分 類 |
主な症状 |
内
痔
核 |
1度 |
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- 痔核の脱肛はない
- 痛みはなく、排便時に出血することが多い
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2度 |
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3度 |
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4度 |
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- 指で押し込んでももどらない
- 粘液がしみ出して下着が汚れる
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外痔核とは?
外痔核の症状は痛みと腫れです。ある日急激に外痔静脈叢が膨らみ血栓ができ、この部分が腫れて激しい痛みが起こります。肛門周囲膿瘍も同じ症状ですので注意が必要です。医師の診察により鑑別診断可能です。
1~2週間痛み止めや腫れ止めの内服薬を用いて治療を行います。1~2ヵ月後にはほとんどわからない程度に小さくなります。したがって切除の必要はないと考えます。
ただし破れて出血する場合、切除術を選択する場合があります。
分 類 |
主な症状 |
外
痔
核 |
血栓性外痔核 |
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- 血栓ができ腫れて激しく痛む
- 破れて出血することがある
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